転職をするにあたって、在職中の会社に退職の意向を伝えなければなりません。円満に退職をするためには、退職届の提出など必要な手続きを踏み、引き継ぎなども滞りなく行うことが大切です。
しかし、退職届はどのタイミングで提出すべきかといったことが、わからないという方もいるでしょう。
ここでは、退職届を提出するタイミングや封筒の選び方、退職願や辞表との違いのほか、正しい退職届の書き方をご紹介します。
また、退職の流れや、退職日までにやっておくべきことなどさまざまなポイントについても解説します。
■目次■
退職願・退職届・辞表の違い
退職願と退職届、辞表は、どのような目的で提出する書類なのでしょうか。
まずは、それぞれの意味をご紹介します。
退職願
退職願とは、その名のとおり、退職を願い出るための書類になります。
会社との労働契約の解除を申し入れるための書類ですので、会社が承諾するまでのあいだは撤回も可能です。
退職願は必ずしも書面にしなければならないわけではなく、口頭で直属の上司に退職の意思を伝えるだけでも構いません。
退職届
退職届は、退職することが確定した段階で会社に対し退職、すなわち労働契約の解除を届け出るための書類です。
一般的な企業においては、就業規則で「退職の際には退職届を出す」ことが規定されています。
また、退職届の提出後は、退職を撤回することはできません。
辞表
辞表とは、社長や取締役などの役員が役を離れるときや、経営層が役職を辞めるときに届け出る書類のことです。
ですので、辞表を提出した後も、一般社員として会社で勤務を続けることもあります。
また、公務員が辞めるときに提出する書類も辞表といいますが、こちらは退職届と同様の扱いとなります。
退職届の書き方
退職届を作成する際には、決められた形式やビジネスマナーを守ることが大切です。
続いては、退職届の正しい書き方をご紹介します。
原則は手書きで縦書きにする
退職届は、原則として手書きで作成します。
一般的には縦書きですが、企業から横書きでの提出を求められる場合は横書きにします。
退職届に記載する内容
退職届に記載する内容は下記のとおりです。
退職理由
退職理由は、「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。
退職日
退職日は、上司と相談して確定させた、退職の日付を記載します。
年は西暦でも和暦でも構いませんが、縦書きの場合、和暦のほうが見た目は良くなります。
退職届を提出する日付
退職届を提出する日付を書きます。
署名・捺印
自分の所属部署、氏名を書き、名前の下に捺印をします。
宛名
自分の所属部署、氏名を書き、名前の下に捺印をします。
宛名は代表取締役(社長)宛とし、会社名と役職、氏名を書きます。敬称は様、または殿が一般的です。
なお、退職届は、提出する前にコピーをとって、手元に残しておきましょう。
退職届の封筒には注意点が多い
続いては、退職届に用いる封筒の選び方や表書きの書き方、封筒への入れ方など、退職届用の封筒のマナーについて説明します。
封筒の選び方
退職届を出す場合は、封筒に入れて手渡しをするのがマナーです。封筒には白・茶色・黄色・水色・ピンクなどさまざまな色がありますが、ビジネス用の場合は基本、白か茶色の封筒を使用しましょう。
清潔でフォーマルなイメージのある白封筒は、社外向けの文書や公式の書類を入れるために使用します。「茶封筒」または「クラフト封筒」と呼ばれる茶色の封筒は、社内向けの資料や領収書・請求書といった事務的な書類のやり取りに使用するため、簡易で廉価なイメージがあります。
退職届には「白」の封筒を使用します。郵便番号の枠が印刷されているものではなく、何も印刷されていない「無地」の封筒を用意しましょう。可能であれば、中身が透けて見えないように、適度な厚みがあるものや二重になっているものが適切です。特に、封筒の中に紫などの色付き内紙が貼られた二重封筒は、中身が透けて見えない上、相手に丁寧な印象を与えます。
封筒の規格は、退職届を書くために使用した用紙のサイズに応じて決まります。ビジネスで使用することの多い封筒の規格は、「長形(なががた)」と「角形(かくがた)」です。長形の封筒は、A4用紙やB5用紙の書類を二つ折り、または三つ折りで入れるために使用します。角形の封筒は、用紙を折らずに入れるために使用します。
退職届は一般的にB5またはA4用紙で作成し、三つ折りにして封筒に入れるため、長形の封筒を用います。B5用紙の退職届には「長4(ながよん)」と呼ばれる「長形4号(横90mm×縦205mm)」を、A4用紙の退職届には「長3(ながさん)」と呼ばれる「長形3号(横120mm×縦235mm)」をそれぞれ用意します。
なお、会社指定の用紙がない場合は、B5用紙で退職願を作成し、長形4号の封筒に入れるのが望ましいです。なぜなら、退職届を受け取った方が、胸ポケットなどに入れられるようにするためです。白無地の長形4号または長形3号の封筒は、文房具店やコンビニエンスストアなどで販売しています。
規格や厚さをよく確認してから購入しましょう。
封筒への書き方のマナー
封筒表面の「表書き」は、縦書きで記載します。
封筒表面の中心から少し上の位置に、「退職届」と少し大きめに縦書きに記載してください。表書きには、会社名や代表取締役名などの宛先を書く必要はありません。
そして、裏面の「裏書き」では、左下側に所属している部署名と氏名を縦書きします。このとき、文字跡が残らないよう、封筒に退職届を入れずに表書き・裏書きを書いてください。
筆記用具は、黒色のボールペンを使用します。筆ペンやサインペン、マーカーでは目立ちすぎてしまうため避けたほうがよいでしょう。
もし、書き間違いをした場合には、修正液などを使用せず、新しい封筒で一から書き直しましょう。
退職届を封筒に入れる際のマナー
退職届を封筒に入れる際は、受け取った方が退職届を封筒から取り出し、すぐに内容を読めるような折り方および書類の入れ方を心がけましょう。
折り方は二つ折りや四つ折りではなく、三つ折りにします。文面を内側にして、下側の3分の1部分を折り返し、上側の3分の1部分をその上に被せるようにして折り返します。用紙を折るときには、汚れをきれいに拭き取った平らな机でおこないましょう。指先も、インクなどの汚れが付いていないか確認しましょう。なるべく定規を使用して3分の1の位置を測り、丁寧に端を合わせてまっすぐ折り返してください。
封筒に入れるときは、退職届の右上部分と封筒裏面の右面が重なる向きに入れます。入れる向きを間違えないように注意しましょう。また、途中で用紙がひっかかって折れ目を作らないよう、慎重に封筒に入れましょう。
一般的に退職届を入れた封筒は、受け取った方がすぐに中身を読めるように封をしません。しかし、封をするためのテープやのりが付いた封筒を使用する場合には、封をしても構いません。その場合、必ず表書き・裏書きに同じ筆記用具で〆マークを記しておきましょう。
なお、白色の封筒は汚れが付くと目立ちやすいので、注意が必要です。汚れや折れを防ぐために、封筒を提出するまでクリアファイルなどに入れて保管しておくとよいでしょう。
退職に関する規定を確認する
退職の意思を固めたら、まずは就業規則などで、退職に関する規定を確認してください。
民法では、退職する14日前までに意思を伝えれば良いとされていますが、1ヵ月前を目処に意思表示するのが一般的です。ただし、会社によって規定は異なりますので、就業規則の確認は必須です。
転職先が決まった上での退職の場合には、特に配慮が必要です。転職先の企業にも、在職中の会社にも迷惑をかけないよう、入社の時期は余裕を持って設定してもらい、それに合わせて退職時期を決めていきましょう。
直属の上司に相談し、退職の意を伝える
退職したい時期を決めたら、まずはできるだけ早く直属の上司に退職の意思があることを伝えましょう。
退職後に周囲に迷惑をかけないよう、退職日や退職するまでの引き継ぎのスケジュールなどを、上司や部署内の社員と共有してください。
退職届を提出する
退職が承認され確定したら、退職届を提出します。
提出のタイミングが就業規則で決められている場合はそれに従います。会議室など、他の社員がいないところで、直属の上司に手渡ししましょう。
同僚などへの退職の報告は、基本的に退職が承認され確定となってからにするべきです。
退職をめぐる心情は複雑でデリケートなものですから、周囲への心配りを忘れずに行動するようにしましょう。
退職届を郵送する際の注意点
退職届は本来、上司に直接手渡すことが望ましいです。しかし、ケガや病気などやむを得ない理由で手渡しが難しい場合は、郵送での届出が可能か否か会社に確認しましょう。
許可を得た場合は、以下の点を踏まえて退職届を郵送します。
郵送用の封筒を使う
退職届を郵送するためには、
退職届を入れた封筒とは別に、まず郵送するための封筒を用意します。
サイズは、退職届を入れた封筒よりも一回りほど大きなものを選びます。退職届を入れた封筒が長形4号の場合は長形3号(横120mm×縦235mm)を、長形3号の場合は角形5号(横190mm×縦240mm)を選ぶと丁度よいです。
また、郵送用ゆえ宛名を書く必要があるため、右上に「郵便番号枠」が記載された封筒を使用しましょう。
色に関しては、
退職届を入れた封筒と同様に「白」を選びます。
添え状を同封する
退職届を郵送する場合、退職届の入った封筒とともに「添え状」も入れます。
これは、書類を郵送する際に同封する文書のことで、「送付状」とも呼ばれます。添え状を一緒に入れることは、社会人としてのマナーなので、下記の例文を参考に、お世話になった会社に対して誠意が伝わる文章を書き、同封しましょう。
(例)
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退職届(中央揃え)
令和○年○月○日(右揃え)
会社名
提出する相手の所属部署名
役職 氏名
所属部署名(右揃え)
自分の名前(右揃え)
拝啓 貴社ますますご清栄のことと、お慶び申し上げます。
このたび、一身上の都合により退職させていただくことになりました。
突然な退職により皆様に多大なご迷惑をおかけいたしますこと深くお詫び申し上げます
同封の通り、退職届を提出させていただきますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
短い間(または長い間)ではございましたが、大変お世話になりました。
末筆ながら、貴社のご発展をお祈り申し上げます。
敬具
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添え状は、退職届と合わせてB5またはA4用紙で作成し、書式も退職届に合わせて縦書き、または横書きにします。添え状には本文とともに、「退職届を郵送する日付」「提出する相手の所属部署名と役職および氏名」「自分の所属部署名と氏名」を書きます。
誤字脱字に注意して、丁寧に記入しましょう。
宛名を書く際の注意点
封筒の表書きには、「郵便番号」「会社の住所」「所属部署名と上司名または人事担当部門名」「担当者名」を黒色のボールペンで書きます。部署名しか書かれていない場合、誰が開封するかわからないため、誰を宛先にして送付すればよいのか、上司または人事の方に確認しておきましょう。
左下には、赤のボールペンで「親展」と書き、四角い線で囲みます。親展には、「宛名の方に開封して欲しい、宛名の方以外は開封しないで欲しい」旨を伝える意味があります。
親展と記しておくことで、退職届を提出したことを宛名の方以外の社員に知られるリスクが下がります。
封筒の裏書きには、表書きと同じボールペンを使用して、左下側に「郵便番号」「自分の住所と所属部署名および氏名」を書きます。宛名書きが終わったら、三つ折りにした添え状を退職届の入った封筒の上に重ね、封筒の中に丁寧に入れます。その後、封筒の封をして、〆マークを付けておきます。
郵送手続きの際は、封筒に切手を貼付してポストに投函するのではなく、なるべく郵便局窓口で料金を計測してもらい郵送しましょう。退職届入りの封筒と添え状を同封したことで重量が増し、料金不足となる恐れがあるからです。また、郵送後に「退職届を送った」「受け取っていない」という行き違いでトラブルとならないよう、
普通郵便ではなく一般書留にして「配達証明」を利用するのがおすすめです。
配達証明とは一般書留に付加できるサービスで、配達が終了したら差出人に配達証明書が届きます。基本料金・運賃と一般書留の加算料金に、320円支払うことで利用できます。配達証明書は紛失しないよう大切に保管しておきましょう。紛失した場合、1年以内なら440円の手数料で再請求が可能です。
退職届を出した後に行うこと
続いては、退職届を提出した後、退職日までにやるべきことをご紹介します。円満に退職するためにも確認しておきましょう。
後任者への引き継ぎ
退職が確定となったら、まずは後任者への引き継ぎを行います。手掛けていた案件の進捗や、必要な書類の保管場所などを詳細に伝えましょう。
他にも、仕事の進め方や取引先とのやりとりのコツなどを伝えれば、後任者がその後の仕事をスムーズに進めることが可能となります。
引き継ぎの際、口頭のみで伝えると、漏れがあったり、後任者が一度で理解するのが難しかったりしますので、引き継ぎ資料を作成しましょう。後任者ばかりでなく、社内の誰が見ても、自分が従事していた業務・案件に関する必要事項がわかるよう、まとめるようにしてください。
返す物をまとめる・デスクをきれいにする
会社に返す物をまとめて、返却してください。退職とともに脱退となる健康保険の被保険者証の他、社員証やカードキー、名刺、事務用品、会社の経費で購入した書籍や物品などを返却します。名刺は、自分の物だけでなく、仕事を通じて受け取った取引先などの名刺も返却します。
デスク周りの整理や清掃も必須です。パソコンの中のデータは今後の業務に必要なもの以外は消去し、後任者がわかりやすいように整理しておきます。
退職は次へのステップ!マナーを大切に
退職届は、退職するための単なる手紙などではなく、これまでお世話になったことへの謝意と、これから前進するための意気込みを示す大切な要素です。ビジネスマナーの一環であることを十分に意識し、相手に失礼のないよう提出しましょう。
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